『Clocks and Watches: The Collection of the Worshipful Company of Clockmakers』は、ロンドンの時計師組合が所蔵する時計を紹介した、セシル・クラットンとジョージ・ダニエルズによる英語の図録です。1975年に刊行され、組合と博物館の歩みを背景に、収集された時計を個々の実物資料としてたどるための本です。1 2
時計の歴史を読むとき、「誰が何を発明したか」という説明だけでなく、「その説明に対応する実物がどこにあり、どのように記録されているか」が問題になります。本書は、その入口となるコレクション目録です。Guildhall Libraryも、組合所蔵の時計を調べるための文献として本書を挙げています。3
書誌情報#
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | Clocks and Watches: The Collection of the Worshipful Company of Clockmakers |
| 執筆者 | Cecil Clutton、George Daniels |
| 出版者 | Sotheby Parke Bernet Publications |
| 出版地・初版年 | ロンドン、1975年 |
| 言語 | 英語 |
| 分量 | 前付xx頁、本文123頁。索引あり |
| ISBN | 0-85667-019-7 |
| 識別子 | 米国議会図書館管理番号76379159、Open Library OL4950986M |
書誌事項はOpen Libraryに収録された図書館由来の記録と、British Horological InstituteのWessex支部の所蔵目録を照合しました。前付のxxはローマ数字の20頁を意味し、本文123頁とは区別されます。1 4
どのような内容の本か#
時計書の注釈付き書誌を編んだRichard Watkinsは、本書を、組合と博物館の短い歴史に続いて、コレクションから選ばれた品々を記述する図録として説明しています。写真も含みますが、全点を同じ密度で図解する形式ではありません。2
また、ドイツ時計学会の本書の記載では、懐中時計、床置時計、卓上時計、時計の鍵を含む692点のカタログとされています。この数字は、図版の枚数や現在の博物館の収蔵総数を意味するものではありません。対象が携帯時計だけに限られず、時計の形式や付属品まで及ぶ点を示す記録です。5
この性格から、本書は、ある時計の名前を探し、実物についての説明と照らし合わせるために使う資料として位置づけられます。一方、ある機構の働きを初歩から順に学ぶ教科書や、組合関係の全史料を収めた文書目録とは用途が異なります。後者を調べる場合、Guildhall LibraryはJohn Bromleyの別の目録を案内しています。2 3
図録の背景にある実物の収集#
時計師組合の資料収集は、1814年に時計関係の重要書籍を集める図書館が設けられたことに始まります。翌1815年、Benjamin Lewis Vulliamyは故Alexander Cummingの遺品売立てから時計関係の品を3点入手し、図書館へ寄贈しました。さらに実物の寄贈が続き、1816年には初期の時計師の仕事を集めて職業の歴史を記録する考えが示されました。6
つまり、このコレクションでは、本を集めることと時計を集めることが結びついています。文献が過去の仕事を説明し、実物がその具体的な姿を残すという関係です。1975年の本書も、そうした蓄積の中で作られた時計の記録として読むことができます。3 6
組合の図書館と博物館資料は1873年にGuildhallで一般公開されました。本書の刊行時には時計コレクションもGuildhallにあり、Watkinsは1949年のG. H. Baillieの目録以来の新しい図録として本書を位置づけています。2 6
同じ著者の別の本・図書目録との違い#
本書を探す際には、短い主題名だけでなく、副題とISBNが手がかりになります。
| 資料 | 主な対象・確認できる役割 |
|---|---|
| 本書(Clocks and Watches、1975) | 時計師組合が所蔵する時計コレクション |
| Clutton・DanielsのWatches | 携帯時計の技術と装飾の歴史を扱う別著作 |
| BromleyのThe Clockmakers’ Library(1977) | 組合図書館の書籍・手稿を調べる別の目録 |
Watkinsの書誌では、本書と『Watches』は連続する別項目R682・R683に分けて記載されています。Guildhall Libraryの案内も、時計そのものの図録と、図書館・記録類の目録を分けています。同じ著者名や「時計師組合」の名称が付いていても、収録対象は同じではありません。2 3
版については、Watkinsの書誌に1980年刊・初刊1975年という記載もあります。ただし、これだけから本文や収録品が増補されたと判断することはできません。本稿の書誌上の基準は1975年刊であり、1980年本との本文異同や日本語訳の存在は確認していません。1 2
現在の博物館との関係#
時計コレクションは2015年にロンドンのScience Museumへ移りました。時計師組合の図書館と文書資料はGuildhall Libraryに残っています。時計師組合の博物館はScience Museum内に所在しますが、組合の公式説明では独立した博物館として扱われています。6
現在のScience Museumの案内には、600点を超える携帯時計、90点の置時計類、30点のマリンクロノメーターなどが挙げられています。マリンクロノメーターは航海で基準時刻を保つための精密時計です。John HarrisonのH5や、Thomas Tompionの長期間駆動する床置時計も紹介されています。7

図1:現在のClockmakers’ Museumに展示されるJohn Arnold & Sonの航海時計(ロンドン、1795年頃)。本書の掲載図版の転載ではなく、現存コレクションの参考例です。撮影:Daderot。出典:Wikimedia Commonsの個別ファイルページ。利用条件:CC0 1.0 Universal。変更:なし。
現在の展示には、ダニエルズが1980年代初めに製作したSpace Traveller IIも含まれます。これは1975年の本書より後の作品です。古い図録の収録範囲と、その後に加わった作品や現在の展示構成を分けて考える必要があります。7
参照方法と確認範囲#
本書は、Guildhall Libraryの調査案内に掲載され、Wessex BHIの会員向け図書室にも所蔵が記録されています。Internet Archiveにはデジタル化した資料の書誌がありますが、本文はアクセス制限付きであり、書誌ページがあることと全文を自由に閲覧できることは同じではありません。1 3 4
本稿では、図書館由来の書誌、時計専門書誌の内容説明、時計学会の現物記載、組合と博物館の公式案内を確認しました。本書の本文・目次の全体は実読しておらず、個別時計の解説内容、写真の細部、版ごとの本文の違いは要約の対象にしていません。写真の鮮明さや解説の読みやすさについても、読了を前提とする評価は加えていません。
参考文献#
- Open Library, Clocks and watches(OL4950986M)、1975年刊の書誌・MARC由来情報。Internet Archive, clockswatchescol0000wors、書誌・アクセス区分。閲覧日:2026年10月22日。
2. Richard Watkins, Mechanical Watches: An Annotated Bibliography of Publications since 1800, Fourth Edition, Volume 1、2023年、R682、印刷頁164–165。別著『Watches』はR683。閲覧日:2026年10月22日。
3. City of London, Clocks and clockmakers、2023年1月26日更新、Guildhall Library holdings。閲覧日:2026年10月22日。
4. Wessex Branch, British Horological Institute, Branch Library、および所蔵目録(2021年1月31日版)。閲覧日:2026年10月22日。
5. Deutsche Gesellschaft für Chronometrie, DGC Freiverkauf、品番6287。現物書誌と収録対象の記載。閲覧日:2026年10月22日。
6. The Worshipful Company of Clockmakers, Museum & Archive、コレクション成立史、所在地と資料群の区別。閲覧日:2026年10月22日。
7. Science Museum, The Clockmakers’ Museum、現在の収蔵・展示案内。閲覧日:2026年10月22日。