シャルル＝アミ・バルベザ（Charles-Ami Barbezat） – 生涯と時計技術への貢献

生涯・経歴 #

シャルル＝アミ・バルベザ（1847–1938）は、19世紀後半から20世紀初頭に活躍したスイスの時計師・発明家である。複雑懐中時計（特にミニッツリピーター）の製造で名を馳せ、「ル・ファール（Le Phare、仏語で「灯台」の意）」ブランドの創設者として知られる ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 ) ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。彼は多数の時計技術特許を取得し、同時代の複雑時計産業をリードした一人であり、19世紀のスイスを代表する時計技術者の一人と評価されている ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。

1847年にスイス・ヌーシャテル州レ・バイヤール村で、父シャルル・アンリ・バルベザと母アリーヌ・エウラリー・シェデルのもとに生まれた ( Le Phare - Grail Watch Wiki)（生年月日は資料により3月6日 ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)または6月3日 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)とされる）。1860年代前半、約15歳でラ・ショー＝ド＝フォン近郊ル・ロックルの時計師アンリ・ヴィクトール・ジャン・グイィ（Henri Victor Jean Guye, 1838–1877）の工房に見習いとして入る ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。バルベザの出身地レ・バイヤールはグイィ家やバイヨ家（後述の妻の実家）と同郷であり、こうした縁から時計製造の道に入ったと考えられている ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。バルベザはグイィから時計製造の技術と高精度時計への情熱を学び、やがて頭角を現した。

1870年代になるとバルベザは師グイィと協働して事業を発展させ、「グイィ＆バルベザ（Guye & Barbezat）」の名で高級複雑懐中時計を製造するようになる ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。しかし1877年にグイィが39歳の若さで急逝すると、バルベザがその工房を引き継いで経営にあたった ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。バルベザは経営者としても才能を発揮し、1879年3月4日には早くも自身初の発明である懐中時計のカレンダー機構に関する米国特許（No.212,882）を取得している ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。また、1880年のグローニンゲン国際博覧会で金メダル、1881年7月のラ・ショー＝ド＝フォン全国懐中時計展示会でも金メダルを受賞し、その技術力が国際的に評価された ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。バルベザとその工房は複数カレンダー機構付きの精巧な時計で高い評価を得ており、1883年にはアンステルダムで開催された植民地・輸出博覧会において、スイス代表としてパテック・フィリップ社と並び名誉大賞を獲得している ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。

バルベザは1883年に結婚し、妻の姓「バイヨ（Baillot）」を併せて名乗るようになった ( Le Phare - Grail Watch Wiki)（以降「シャルル・バルベザ＝バイヨ」と署名される）。同年、工房名も**「C. バルベザ＝バイヨ」**に改称し、製品の文字盤には「CB」または「C.Barbezat-Baillot, Le Locle」の刻印が用いられるようになった ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。バルベザは複雑時計の製造・販売体制をさらに拡大し、1888年11月30日付で自らの名を冠した新会社「C.バルベザ＝バイヨ工場」をル・ロックルに正式登録するとともに、複雑時計ブランド「ル・ファール（Le Phare）」の商標を出願した ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。この新会社は師グイィとの共同事業の在庫や市場を引き継ぎ、本社をル・ロックルのコート通り222番地に置いている ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。バルベザは地元産業界でも活躍し、1890年代にはル・ロックル時計製造協会の会長を務め、労働者向けの低家賃住宅を供給する建設会社を興すなど社会貢献にも尽力した ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。

新会社のもとでバルベザは繰り返し機構（レピーター）付き高級懐中時計の製造を専門とし、その中でもミニッツリピーター（分刻み報時機構）に注力した ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。彼の工場では、遠心力を利用した独自の調速機構や雑音低減機構を組み込んだ静粛なリピーター機構を開発し、当時としては画期的な押しボタン式のリピーター作動スイッチも導入した ( Le Phare - Grail Watch Wiki) ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。こうした技術革新は、社内の優秀な技師ジョルジュ・ペラトン＝ストイドゥラー（Georges Pellaton-Steudler）の発明によるところも大きく ( Le Phare - Grail Watch Wiki)、複雑機構の信頼性と使い勝手を飛躍的に高めた。ペラトン＝ストイドゥラーは約1910年にバルベザの会社を離れ、自身のマーテル社（Martel Watch Co., 1914年創業）を設立している ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。

バルベザ＝バイヨの工場は順調に発展し、1890年代には高品質かつ比較的手頃な価格の複雑懐中時計を高い生産量で市場に送り出した ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。製品は「ル・ファール」ブランドのもと世界各国で販売され、たとえば1896年のジュネーブ全国博覧会では、同社製の多機能懐中時計（ミニッツリピーター、クロノグラフ、フルカレンダー、ムーンフェイズ、オートマタ搭載）が大きな注目を集めている ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。バルベザ自身も数々の国際博に出品し、1889年のパリ万国博覧会で金メダル、1900年のパリ万国博覧会でも高い評価を受けた ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 ) ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 )。さらに1905年リエージュ万博では審査対象外の名誉グランプリ（Hors Concours）を受賞し ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)、1906年ミラノ万博では金メダルを獲得 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)、1914年のベルン全国博覧会でも金メダルを受賞している ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。こうした成功を受け、1905年3月3日には会社名を正式に「ル・ファール製造所 C. バルベザ＝バイヨ」に改称した ( Le Phare - Grail Watch Wiki) ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。この頃には従業員数も200名規模に達し、需要増に応えるため工場建屋の拡張が継続的に行われた ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。バルベザ自身は1913年に一度引退を表明してレ・ブレネ（Les Brenets）の隠居所に移り住んだが ( Le Phare - Grail Watch Wiki)、引き続き会社の取締役会に関与し、後任経営陣を支えた。

第一次世界大戦が勃発すると、バルベザは**「武器ではなく生活物資を生産する」ことを信条として時計製造を一時転換し、社工場で軍用ズボン（兵士の制服用パンツ）の生産を行った ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。彼は信仰上の良心からスイスの軍需産業への協力を固辞し ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)、1914年には自身の会社をジルバーシュタイン家の甥でゼニス社長でもあったジェームズ（ヤメス）・ファーブル ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)に売却する決断を下している ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki) ( Le Phare MINUTE REPEATER CHRONOGRAPH Gold Antique Pocket Watch. Complicated Watches. Fine Antique Watches at GoodOldWacth.)。このオーナー交代に伴い、1914年4月3日付で会社は資本増強と組織変更が行われ、社名も「ファブリック・ル・ファールSA（Fabriques Le Phare S.A.）」として再出発した ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。なおバルベザは1915年2月**に別事業としてペラトリー（Peseux）に銀食器工場（Fabrique Suisse d’Orfèvrerie）を設立し ( Le Phare - Grail Watch Wiki)、職人として新たな挑戦も行っている。

戦後、ル・ファール社は再び時計生産に注力し、1920年には工場をル・ロックルのコート通り29–33番地に拡張移転して従業員数を戦前の3倍に増やした ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。さらに時計製造用機械の部門も強化し、「Dixi（ディクシー）」ブランド名で旋盤やフライス盤などの精密工作機械を製造・販売した ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki) ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。このDixi機械部門は成功を収め、1931年にル・ファール社から独立企業として分社化されている ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。バルベザ本人は引退後も長寿を保ち、最晩年まで技術者・発明家としての情熱を失わなかった。1938年1月24日、ヌーシャテル州レ・ブレネ近郊カロリーヌの自宅にて永眠。享年90（満92歳）であった ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。

発明・技術的貢献 #

シャルル＝アミ・バルベザは、多岐にわたる時計技術の革新者であり、懐中時計の複雑機構に関して25件以上の特許を取得した ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。彼の発明の中でも特に著名なのが、ミニッツリピーターの遠心調速機構（フリクション・ガバナー）である ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 )。これは打鐘（チャイム）機構の速度を制御する小型の回転調速装置で、内部の遠心力による摩擦を利用して一定の速度で鐘を打たせるものだ ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 )。この発明は、従来のアンカー式脱進機（いわゆるリコイル・アンカー）による調速器に伴っていた「ジリジリ」という雑音を劇的に低減し、静粛で澄んだ音色の報時を可能にした ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)。バルベザはこの改良について1889年1月8日付でスイス特許第334号「懐中時計の打刻機構の改良」として登録し ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 )、同内容はアメリカでも1889年に特許（米国特許No.433,225）を取得している ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。この遠心ガバナーは時計の最後輪に取り付けられた小さなドラム状装置で、遠心力に抗する摩擦により回転を抑制することで打鐘速度を均一に保つ仕組みである ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 )。バルベザの静粛調速機構は1880年代当時として画期的であり、リピーターの雑音問題に約50年ぶりの解決策をもたらした ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)。

バルベザの技術的貢献はこれだけに留まらない。創業初期の1878年には、懐中時計のカレンダー補正機構に関する発明を行い、翌1879年に米国特許第212,882号を取得している ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。これはカレンダー表示を容易に修正できる新機構（おそらく万年カレンダーに関連）で、当時として重要な実用新案だった。また彼はクロノグラフ（秒読み計時機構）にも関心を寄せ、1904年にはクロノグラフ機構の改良についてスイス特許第27833号を取得している ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。実際、彼の工房が製作した懐中時計の中には、ミニッツリピーターとクロノグラフ、永久カレンダー（月齢表示付き）を組み合わせた超複雑機構のモデルも存在し、その一例（1890年頃製造、8つの複雑機能を搭載）は「19世紀スイスで最も高度な懐中時計の一つ」と評されている ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890) ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。

バルベザはレピーターの操作方式にも改良を加えた。従来、懐中時計のミニッツリピーターはケース側面のスライドレバーを押し下げて作動させる方式が一般的だったが、バルベザの工房では押しボタン式の作動機構を開発し、これに関する特許（スイス特許第7782号、13244号、13247号など）を1890年代に取得している ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。ボタン操作により瞬時に報時機構を作動できるこの方式は、ユーザビリティ向上に寄与する新機軸であった。さらにアラーム（目覚まし）機能付き懐中時計の開発も手掛け、1914年にはアラーム機構に関する特許（スイス特許第66162号「目覚まし時計の機構」）を取得している ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。これにより、定刻になると自動的に音を発する懐中時計（アラーム懐中時計）の実現にも貢献したと考えられる。

このようにバルベザは懐中時計の音響機構、表示機構、操作機構のあらゆる面で革新をもたらした。彼の特許取得件数は25件以上にのぼり ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)、多くがスイス・アメリカ・イギリスで権利化され国際的にも認められている。また商標面でも、「Tempora」（1883年登録）や**「Viam Temporis Illumino」（1883年）、「Le Phare」（1888年）、「Régulateur silencieux（静粛調速機）」（1897年）、「Dixi」（1904年）、「Fix Watch Co.」**など数多くのブランド名・技術名称を登録しており ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 ) ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)、製品ラインや市場に応じたブランド戦略を展開したことが窺える。

特筆すべきは、バルベザ＝バイヨが複雑時計の大量生産に先鞭をつけた点である。彼は単に個々の機構を改良するだけでなく、それらを工業規模で量産しうる体制を整えた。19世紀後半当時、アメリカではウォルサムやエルジンといったメーカーが時計の機械的量産を確立していたが、それらは主にシンプルな時計に限られており、ミニッツリピーター等の複雑機構は依然として熟練職人の手作業に頼る部分が大きかった。バルベザは自社工場内に複雑機構の分業生産ラインを築き、工作機械（Dixiブランド）の自社開発によって部品製造の効率化も推進した ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。その結果、彼の「ル・ファール」工場は19世紀末における最大級・最先端の複雑時計メーカーの一つとなり、多数の複雑懐中時計を市場に送り出すことに成功した ( Le Phare MINUTE REPEATER CHRONOGRAPH Gold Antique Pocket Watch. Complicated Watches. Fine Antique Watches at GoodOldWacth.)。このような功績により、バルベザ＝バイヨは当時の同業者からも一目置かれる存在となり、スイス国内外で高く評価された。

技術的背景と競合・影響 #

ミニッツリピーター技術の背景: 懐中時計のミニッツリピーター（定刻報時機構）は18世紀以来開発が進められ、多くの名工（例えばA.L.ブレゲやオーデマール兄弟など）が洗練させてきた。しかしその調速機構には課題が残っていた。従来のリピーターは錨型の制御輪（リコイル・アンクル）によって打鐘のテンポを調整していたが、この方式では作動中に独特の「カチカチ」あるいは「ジー」という持続音（雑音）が発生し、鐘の音色に混じってしまう欠点があった ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)。1840年代半ばには既にこの雑音は認識されていたものの長らく解決策がなく、「報時音には多少のノイズがつきもの」という状況が半世紀以上続いた ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)。バルベザ＝バイヨは1880年代後期にこの問題に大胆なアプローチで挑み、前述の遠心調速器を導入することで初めて無雑音のミニッツリピーターを実現した ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)。この静粛リピーター機構は、愛好家からは「耳障りな雑音の無いリピーター」として歓迎された一方、伝統を重んじる一部の高級ブランドからは当初慎重な扱いを受けた。当時、微かな蝉の鳴き声にも喩えられたリピーター作動音は「由緒ある機械式音」と捉える向きもあり、静か過ぎるリピーターはかえって奇異と見る声もあったのである ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)。そのためバルベザの静音リピーターは主に比較的小規模なメーカーや無銘の注文生産品などに採用され、高級ブランドの主流となるまでには至らなかった。しかしながら彼の発明の先見性は疑いなく、1世紀近く後になってパテック・フィリップ社が1989年の記念モデル「カリブレー89」で無音調速のミニッツリピーターを採用すると、以降は高級時計メーカー各社が競って遠心・慣性ガバナー式の調速機構を導入するようになった ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :) ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)。バルベザの技術は当時は時代の先を行き過ぎていたが、現代に至りその価値が再認識されたと言える。

同時代の競合・協業: バルベザ＝バイヨと同時期（19世紀末）には、他にも複雑時計の名匠たちが活躍していた。ルイ＝エリゼ・ピゲ（1836–1924）はスイス・ジュウ渓谷ル・ブラッシュの工房で高品質なグランド・コンプリケーションのエボーシュ（未完成ムーブメント）を製造し、多くのメーカーに供給していた。実際、バルベザもルイ＝エリゼ・ピゲからムーブメント供給を受けており、自社の遠心調速機構を組み込んだ高度な三問懐中時計を共同で作り上げた例がある ( Schwob Frère & Co. Pocket clock-watch, Grande Sonnerie, carillon trip minute-repeater with two striking Jacks, three gongs, three hammers; 18K yellow gold | | Geneva, November 5, 2022 )。さらにバルベザは、自社ブランド製品だけでなく他社との協業にも積極的で、ビエンヌ（ビーラ）のブラント兄弟社（Louis Brandt & Frère、のちのオメガ社）やル・ロックルのゼニス社とも連携して複雑時計を製造した ( Schwob Frère & Co. Pocket clock-watch, Grande Sonnerie, carillon trip minute-repeater with two striking Jacks, three gongs, three hammers; 18K yellow gold | | Geneva, November 5, 2022 )。例えばグランドソネリ（大自鳴：時刻ごとに自動打鐘する機構）やカリヨン・ミニッツリピーター（三本の鐘による和音打報）を備えた極めて複雑な懐中時計の製作において、これら複数企業の専門技術が結集された ( Schwob Frère & Co. Pocket clock-watch, Grande Sonnerie, carillon trip minute-repeater with two striking Jacks, three gongs, three hammers; 18K yellow gold | | Geneva, November 5, 2022 )。このように19世紀末の複雑時計は、一社単独というより複数のスペシャリスト企業の協力で作り上げられることも多かった。バルベザの遠心調速機構も、ある種の標準技術として業界内に広まり、オーデマール＝フレール社やインヴィクタ社といった他社のリピーター懐中時計にも彼の開発したムーブメント（またはその機構）が採用された例がある ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。その識別点として、バルベザのムーブメントでは調速用ガバナーのケージ内に独特な十字形の部品が見られ、この意匠によってル・ファール製の機械を判別できるとされる ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)（同時期のエンジェルス社やインヴィクタ社の機械とは形状が異なる）。この十字形をした遠心調速機構はまさにバルベザ工房の代名詞であり、技術的シグネチャーとなった。

バルベザのもう一つの重要な貢献は、複雑時計の量産技術である。彼は工房を近代的な工場へと発展させ、複雑な機構を部品単位に分解して製造・組立するシステムを構築した。自社開発のDixi工作機械は高精度の歯車やネジを大量生産することを可能にし、これによってミニッツリピーターやクロノグラフといった高級機構を数百個単位で市場供給することを実現した ( Le Phare MINUTE REPEATER CHRONOGRAPH Gold Antique Pocket Watch. Complicated Watches. Fine Antique Watches at GoodOldWacth.)。このアプローチは当時のスイス高級時計業界では先進的であり、後に他のメーカー（例：LonginesやOmegaなど）が量産技術を取り入れる上での参考ともなった。バルベザ自身、1900年代初頭にはスイス時計産業の機械化推進に貢献し、その延長線上で誕生したDixi社は20世紀後半にゼニスやゾディアックといった名門ブランドを買収・再編して存続させるほどの大企業に成長している ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。この事実は、バルベザの技術的遺産が時計そのものの領域を超え、時計製造機械産業や産業資本の側面でも現代に影響を与えたことを物語っている。

現代への影響 #

シャルル＝アミ・バルベザの業績は、現代の時計業界にも多大な影響を残している。最も顕著なのはミニッツリピーターの静粛調速技術で、彼が19世紀に生み出した遠心ガバナー機構は、20世紀末から21世紀にかけて高級機械式時計に再評価され普及した。1980年代末にパテック・フィリップ社が伝統的な錘（おもり）式ではなく慣性（遠心）式の調速器を自社のミニッツリピーターに採用すると ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)、以降オーデマ・ピゲやヴァシュロン・コンスタンタン、グラスヒュッテ・オリジナルなど多くの高級ブランドが同様の静音調速機構を搭載するようになった。これは**「音を発するのは鐘だけ」**というバルベザの理想を具現化したものであり、彼の発明が一世紀の時を超えて花開いた例と言える。

また、バルベザが築いた複雑機構の量産モデルは、現在の高級時計業界にも通ずる部分がある。彼は「複雑だから高価で希少」という常識に挑み、ある程度生産数を伴った複雑時計を成立させた最初期の人物だった ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。この理念は現代の一部メーカー（例えばグランドセイコーやフレデリック・コンスタントが手頃な高機能機械式時計を量産しようとする動きなど）にも通じ、技術の民主化という観点で先駆的役割を果たしたと評価できる。

バルベザの創業したル・ファール社そのものも、彼の死後に形態を変えつつ20世紀後半まで存続し発展した。同社は1950年にスルタナ社と合併して「ル・ファール＝スルタナ社」となり、クロノグラフ（ストップウオッチ機構付き時計）の大手メーカーへと成長した。1970年にはスイスで第二位のクロノグラフ供給会社となり ( Le Phare - Grail Watch Wiki)、レトログラード表示や自動クオーツなど先進的なモデルも発表している ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。さらに、前述の工作機械部門から派生したDixi社（1931年独立）は、1970年代の「クオーツショック」時代に経営危機に陥った伝統ブランドを次々と買収し、ゼニス（1978年買収）やゾディアック（同）といった老舗メーカーを存続させる役割を果たした ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。このように、バルベザの遺した事業や技術ネットワークは、結果的にスイス時計産業の危機を救う一翼も担った。

人材面でも、バルベザの影響は現代に繋がっている。彼の工房で才能を開花させたジョルジュ・ペラトン＝ストイドゥラーはマーテル社を創業し、同社は後年ゼニス社と協力して名機と謳われるクロノグラフムーブメントを数多く開発した（※マーテル社の技術は1960年代にゼニスに吸収され、「エル・プリメロ」の源流の一つとなった）。この系譜も考え合わせれば、バルベザの技術的DNAは21世紀の機械式時計にも脈々と受け継がれていると言える。

作品・顧客とその特徴 #

バルベザ＝バイヨの工房（ル・ファール社）が手掛けた作品は、多岐にわたる複雑機構懐中時計である。彼の代表作としては、ミニッツリピーターにクロノグラフと**永久カレンダー（ムーンフェイズ付き）**を組み合わせた超複雑懐中時計が挙げられる。実重量160gを超える18K金無垢ケースに8つもの複雑機能を収めた懐中時計（シリアルNo.50716、1890年頃製造）はその一例で、**ミニッツリピーター、クロノグラフ（秒積算計付き）、万年カレンダー、月齢（月相・月齢表示）**などを搭載した精巧極まる作品である ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。この時計は白文字盤にピンクゴールドのブレゲ針を備え、文字盤裏面（中蓋）にはバルベザの取得特許番号「No.27833」（1904年のクロノグラフ機構特許）も刻印された特別仕様品で、当時の最高峰技術を示す逸品となっている ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。

他にも、3つの鐘（ゴング）とそれを打ち分ける3本のハンマーを備えたカリヨン・ミニッツリピーター懐中時計や、報時と連動して文字盤上の人形が動くオートマタ（からくり人形）内蔵時計など、遊び心と技術を融合させた作品も手掛けている ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。実際、1896年のジュネーブ国民博覧会では、これら複雑機構に加えクロノグラフやフルカレンダー（月齢表示）を組み込んだ懐中時計が展示され、大きな注目を集めた ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。バルベザの作品群は実用性と芸術性を兼ね備え、当時の審査員や愛好家から高い賞賛を得ている。彼の懐中時計は1889年パリ万博や1900年パリ万博でもその品質を認められ、いくつものメダルや賞状を獲得した ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 )。

顧客について見ると、バルベザ＝バイヨの工房はスイス国内のみならず海外市場にも積極的に進出した。特にスペイン市場では高い人気を博し、マドリードの名門時計商**「エル・トラスト（El Trust, Joyero y Relojero Internacional）」を通じて多数の複雑懐中時計を販売している ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 )。エル・トラスト社は20世紀初頭にバルベザの商標「Fix Watch Co.」をスペイン独占代理として扱い、同社向けに一級クロノメーター仕様のミニッツリピーターやクロノグラフ（積算計付き）**、**永久カレンダー（トリプルカレンダー）等を組み合わせた最高級モデルが供給された ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 ) ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 )。これらは当時のスペイン富裕層に愛用され、エル・トラスト社のカタログ上で「Cronómetro Repetición 1ª Clase (一級クロノメーター・リピーター)」**と銘打たれて販売された ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 ) ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 )。その後1920年代になると、同社は取り扱いブランドにパテック・フィリップやロンジン（3ゴングのカリヨンリピーター付き懐中時計）を加えたが、バルベザのFixブランドもスペイン市場で一定の地位を築いていた ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 )。

バルベザはその他の市場向けにも多彩なブランド展開を行った。前述のTempora（テンポラ）やLe Phare（ル・ファール）のほか、英語圏向けにThe Pharos（ザ・ファロス）というブランド名を用いたり ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)、第一次大戦後にはMemory（メモリー）というブランドで販売を行った例もある ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。さらにTrusty（トラスティ）やFix（フィックス）といった商標も登録しており ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 )、これらは代理店毎またはモデル毎のブランド名として使い分けられたとみられる。実際、Tempora商標で販売された懐中時計の一つ（ミニッツリピーター＆クロノグラフ搭載モデル）では、中蓋に**「Tempora – C.Barbezat-Baillot」の刻印があり ( Le Phare MINUTE REPEATER CHRONOGRAPH Gold Antique Pocket Watch. Complicated Watches. Fine Antique Watches at GoodOldWacth.)、ケースにはスイス特許第334号と第13244号の番号が刻まれている ( Le Phare MINUTE REPEATER CHRONOGRAPH Gold Antique Pocket Watch. Complicated Watches. Fine Antique Watches at GoodOldWacth.)。これはすなわち遠心調速機構（No.334）と押しボタン機構（No.13244）**を搭載していることを示し、バルベザの発明が実際の製品に組み込まれていた証左である。

バルベザ＝バイヨの製品の特徴としては、まず複雑さと精度の両立が挙げられる。彼の懐中時計は高い職人技術に支えられた精密な調整が施されており、その精度や信頼性は各種博覧会での受賞歴が裏付けている ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 )。次に、生産数が比較的多かったため、市場での入手性と価格競争力にも優れていた点が特徴的である ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。例えば、同時代のパテック・フィリップやヴァシュロン・コンスタンタンの複雑懐中時計がごく限られた富裕層のみの注文品だったのに対し、バルベザのル・ファール製品はカタログ販売や海外代理店経由で比較的広い顧客層に行き渡った。これは当時としては珍しい現象であり、複雑機構時計の市場拡大に貢献したと言える。さらに、前述の遠心ガバナーに見られる独自の十字パーツなど、技術的アイコンともいえる意匠を持っていたことも特徴である ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。ムーブメントの地板やテンプ受けには「C.B.B.」（C. Barbezat-Baillot）等の刻印が打たれ、その機械加工と仕上げ（鏡面磨きされたスチール部品、ネジ留めされた金色ルビー受け石など）は当時一流の水準に達していた ( Minute Repeater & Chronograph Antique Solid Gold REPEATING …) ( Le Phare MINUTE REPEATER CHRONOGRAPH Gold Antique Pocket Watch. Complicated Watches. Fine Antique Watches at GoodOldWacth.)。総じて、シャルル＝アミ・バルベザの作品は技術革新性、実用精度、美観仕上げ、量産性のバランスに優れ、19世紀末のスイス時計産業における一大ブランドとして確固たる地位を築いたのである。

年表 #

1847年6月3日 – ヌーシャテル州レ・バイヤールにて出生 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)（父：シャルル・アンリ・バルベザ、母：アリーヌ・E. シェデル）。
1862年頃 – アンリ・V.J.グイィ（ル・ロックル）に弟子入り ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1867年 – グイィとの共同事業「Guye & Barbezat」を開始（推定）。
1877年 – 師アンリ・グイィ死去 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。バルベザが工房の経営を継承。
1879年3月4日 – 米国特許212,882号（懐中時計のカレンダー機構）特許付与 ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。
1880年 – グローニンゲン博覧会で金メダル受賞 ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。
1881年7月 – ラ・ショー＝ド＝フォン全国懐中時計展で金メダル受賞 ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。
1883年1月17日 – 共同工房を公式に「Guye & Barbezat社」として登録 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1883年2月17日 – *「Tempora」および「Viam temporis illumino」*商標登録 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。
1883年（秋） – アムステルダム国際植民地博覧会で名誉大賞（スイス出展者、パテックと同時受賞） ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。
1883年 – 結婚し「バルベザ＝バイヨ」の姓を名乗る ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。工房名を「C. Barbezat-Baillot」に変更 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。
1888年11月30日 – 「C. バルベザ＝バイヨ工場」をル・ロックルに設立、新ブランド*「Le Phare」*を登録 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。
1889年1月8日 – スイス特許334号（懐中時計の繰返し機構の改良＝遠心調速器）特許付与 ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 )。
1889年6月 – 取締役にアデル・ユゲナン＝ヴィルショー、アルフレッド・ペルノー＝ジャコを迎える ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1889年10月 – パリ万国博覧会で金メダル受賞 ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。
1896年 – ジュネーブ全国博覧会で金メダル受賞 ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)。複雑懐中時計（リピーター、クロノグラフ、カレンダー、オートマタ搭載）が注目を集める ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1897年2月23日 – 「Régulateur silencieux」（静粛調速器）商標登録 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。続けて*「Système silencieux」*等も登録。
1899年3月14日 – *「L’Esperanto」*商標登録 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。
1900年 – パリ万国博覧会に出品（複数の複雑懐中時計が受賞）。
1904年12月30日 – 長男アルフレッド＝ルイ・バルベザが取締役に就任 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1905年3月3日 – 会社名を「ル・ファール（Le Phare）C. Barbezat-Baillot」に改称 ( Le Phare - Grail Watch Wiki) ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。
1905年5月 – リエージュ万国博覧会でHors Concours（審査外名誉賞）を受賞 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。
1906年 – ミラノ国際博覧会で金メダル受賞 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。
1913年 – バルベザ、一時引退しレ・ブレネに隠居（取締役会長職は継続） ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1914年4月3日 – 会社を株式会社組織（Fabriques Le Phare S.A.）に改組。経営権がジェームス・ファーブル（ゼニス社長）に移る ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1914年5月–10月 – ベルン全国博覧会で金メダル受賞 ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)。
1915年2月 – ペラトリー（ヌーシャテル）にスイス金銀細工工場を設立 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。第一次大戦中は軍服用ズボン製造に従事 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1920年 – 戦後復興で工場を拡張移転（従業員3倍に増員） ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1925年 – *「Memory」*ブランドの使用開始 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1931年 – Dixi機械部門を分社化 ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。
1933年 – 世界恐慌の影響で会社を「Nouvelle Fabrique Le Phare S.A.」に再編（経営刷新）。
1938年1月24日 – シャルル＝アミ・バルベザ＝バイヨ死去（スイス・レ・ブレネ） ( Le Phare - Grail Watch Wiki)。享年90歳。

参考文献 #

【2】Antiquorum, Charles Barbezat-Baillot pocket watch, Geneva Auction (Jan 3, 2022) ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 ) ( Charles Barbezat-Baillot Pocket watch, quarter-repeater, chronograph, date; 18K yellow gold | Only Online Auction | Geneva,January 3, 2022 )
【3】Deployant, Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters (Part 2) (2015) ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :) ( Sound Investments: The Genius of Patek Philippe Minute Repeaters 2. :)
【5】Grail Watch Wiki, Le Phare – Charles-Ami Barbezat-Baillot ( Le Phare - Grail Watch Wiki) ( Le Phare - Grail Watch Wiki)
【6】Grail Watch Wiki, Le Phare – Charles-Ami Barbezat-Baillot ( Le Phare - Grail Watch Wiki) ( Le Phare - Grail Watch Wiki)
【8】Antiquorum, Fix Watch Co. “Cronometro Repetición” (retail El Trust, Madrid), Hong Kong Auction (Oct 27, 2018) ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 ) ( CHARLES BARBEZAT-BAILLOT - FIX WATCH CO. WATCH WITH SEVEN HOROLOGICAL COMPLICATIONS, 18K YELLOW GOLD | Important Modern & Vintage Timepieces. | Hong Kong, October 27th, 2018 )
【17】Cortrie Auktionen (Invaluable), Pocket watch with 8 complications (C. Barbezat-Baillot), Auction Lot 4178 (May 2024) ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890) ( Sold at Auction: Pocket watch: heavy astronomical gold hunting case watch with 8 complications, C.Barbezat-Baillot, Le Locle, ca. 1890)
【18】Watch-Wiki (German), Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Biography ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki) ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)
【19】Watch-Wiki (German), Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Biography ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki) ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)
【20】Watch-Wiki (German), Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Patents ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki) ( Barbezat-Baillot, Charles-Ami – Watch-Wiki)
【22】Antiquorum, Schwob Frères & Co. Carillon minute-repeater (made with L. Brandt & C. Barbezat-Baillot), Geneva Auction (Nov 5, 2022) ( Schwob Frère & Co. Pocket clock-watch, Grande Sonnerie, carillon trip minute-repeater with two striking Jacks, three gongs, three hammers; 18K yellow gold | | Geneva, November 5, 2022 ) ( Schwob Frère & Co. Pocket clock-watch, Grande Sonnerie, carillon trip minute-repeater with two striking Jacks, three gongs, three hammers; 18K yellow gold | | Geneva, November 5, 2022 )
【24】Good Old Watch, Le Phare Minute Repeater Chronograph (Antique watch description) ( Le Phare MINUTE REPEATER CHRONOGRAPH Gold Antique Pocket Watch. Complicated Watches. Fine Antique Watches at GoodOldWacth.)