ヒゲゼンマイ

ヒゲゼンマイ

ヒゲゼンマイ(英語でbalance springまたはhairspring、フランス語でspiral)は、機械式時計のテンプに復元力を与える細いばねである。テンプと組み合わせた振動系が一定の周期で往復し、脱進機がその振動を維持しながら輪列の進みを区切る。香箱に巻かれ、時計を動かすエネルギーを蓄える主ゼンマイとは役割が異なる。ヒゲゼンマイも振動中に弾性エネルギーを蓄えるが、長時間の動力源ではない。15

この部品の歴史には、17世紀の発明・優先権争い、19世紀の終端曲線の数学、20世紀の温度補償合金、そして現代の微細加工が重なる。精度を考えるには材料名だけでなく、ばねの形、固定方法、テンプとの組合せ、脱進機や姿勢による影響まで見る必要がある。

1. 原理と精度を決める条件#

テンプを中心へ戻す力#

内端をテンプの軸側、外端を機械の固定側へ取り付けると、テンプの回転に伴って螺旋状のばねが開閉する。ホイヘンスが1675年に公表した図と説明にも、この配置と、各巻きが触れずに動く構想が示されている。巻きが接触したり、周囲の部品に触れたりすると、本来の自由な変形が妨げられる。1

理想化して、角変位に比例する復元トルクを持つ振動系を考えると、運動方程式と一往復の周期は次のようになる。

\[ I\ddot{\theta}+\kappa\theta=0,\qquad T=2\pi\sqrt{\frac{I}{\kappa}},\qquad f=\frac{1}{T} \]

ここで、θは平衡位置からの角変位(rad)、Iはテンプを中心とする慣性モーメント(kg m²)、κは単位角変位当たりの復元トルク、Tは一往復の周期(s)、fは周波数(Hz)である。二つの点を付けたθは、時間t(s)に関する二階微分、すなわち角加速度を表す。ばねの線形復元力と慣性を組み合わせたモデルで、フィリップスの理論と現代特許に現れる関係を全周期の定義で表している。511時計でいう振動数では半往復を一振動と数えることがあるため、例えば3 Hzは毎時21,600振動に対応する。テンプの慣性を大きくすれば周期は長くなり、ばねを強くすれば短くなる。

均質で一定の長方形断面を持つ細いばねが面内で曲がる簡略モデルでは、κの目安は次式で表せる。シリコン製ばねの特許EP1422436B1にも、同じ断面二次モーメントを用いるトルクの式が記載されている。11

\[ \kappa\simeq\frac{Ehe^3}{12L} \]

Eはヤング率、hは軸方向の高さ、eは面内の厚さ、Lは変形するばねの長さである。SI単位ならEはPa、h・e・Lはm、κはN m/radとなる。細い板の曲げを扱う式であり、丸棒をねじる式をそのまま当てはめたものではない。実際には終端の拘束、巻きの形、ばね自身の質量、結晶方位などを考慮する。厚さが三乗で効くことからも、細い部品の寸法管理が歩度に直結することが分かる。

振動の損失は品質係数Qで表すこともできるが、実時計では軸受、脱進機、空気抵抗などを含む評価条件を揃える必要がある。ばねの素材だけから共通のQ値を与えることはできない。

この理想振動系では周期が振幅に依存しない。これが等時性の基本である。しかし実時計は脱進機から断続的に力を受け、摩擦や空気抵抗でエネルギーを失う。主ゼンマイのトルクが変われば振幅も変わり、ばねと脱進機の非理想性が歩度差として現れる。振幅に対する歩度の変化を小さくすることと、平均歩度を合わせることは別の調整課題である。5

調整、姿勢、温度、磁気#

有効長を変える方式では、ばねの外側を拘束する位置が周期に影響する。一方、ばねの有効長を一定に保ち、テンプの錘で慣性を調整する方式もある。パテック フィリップのGyromaxSiは後者の具体例である。長さを変えないことだけで全誤差がなくなるわけではなく、ばねの形と取付けの精度も必要になる。14

姿勢が変わると、重力に対するテンプとばねの向きも変わる。ばねの開閉中に重心が移動し、軸への横方向の力が生じることが、終端曲線を設計する理由の一つである。円筒形や巻上げ端、二本のばねを用いる構成は、この問題への異なる対処である。トゥールビヨンによる回転も姿勢の影響を平均化する仕組みだが、ばねの材料・固定・脱進機に由来する誤差をすべて消すものとはいえない。52122

温度はばねの寸法とヤング率を変え、テンプの寸法と慣性も変える。上の理想式から、小さな変化については、周波数の相対変化が概ね「ばねの強さの相対変化と慣性の相対変化の差の半分」になる。これはモデルからの関係であり、特定製品の実測精度ではない。温度補償はばねだけでなく、テンプとの組合せで成立する。611

磁気への対策と温度補償も別の問題である。ばねに残留磁化が生じ、巻きの動きが乱されれば歩度に影響する。常磁性合金やシリコンを使う設計はこの影響を減らす方向だが、ばねの耐磁性だけで時計全体の耐磁性能を決められない。メーカーの「何倍」という表現も、対象のキャリバーや比較条件を伴う評価として読む必要がある。1823

2. 1675年の成立と優先権#

ホイヘンスの公表とフックの主張#

ホイヘンスの螺旋ばね付き時計については、1675年1月20日付の原稿を指す校訂版の注記と、同年2月25日の『Journal des Sçavans』に掲載されたガロワ宛の説明がある。公開された説明は、ばねの内端・外端の取付け、巻きの開閉、振動を維持する輪列との関係を具体的に示す。携帯時計への応用に加え、陸上・海上での経度測定も用途として挙げている。14

ロバート・フックはこれより前から、ばねを用いた携帯時計を考えていたと主張した。1675年の印刷された追記では、約17年前の着想、1660年の支援者との交渉、1664年の公開講義などを回顧している。その記述には、他人の改良にも権利を認める特許条項への不満や、製作を依頼した時計へのばね装着を控えた経緯も含まれる。これはフック自身の優先権主張を伝える一次資料である一方、それだけで各段階の完成形や動作性能が証明されるわけではない。2

「ばねでテンプを制御する発想」「具体的な螺旋配置の公表」「時計師が製作した動作品」を分けると、争いの意味が見えやすい。ホイヘンスにはイザーク・チュレとの製作関係があり、フックにはトーマス・トンピオンとの関係がある。メトロポリタン美術館の調査は、チュレも発明者として名乗り出たことや、フックとトンピオンによる時計が1675年5月17日にチャールズ2世へ示されたことを記す。発明者一人の着想がそのまま量産製品になった歴史ではない。78

特権と初期の製作・受領者#

オランダの特権の転記には、1675年9月25日の決議と9月27日付の十五年間の権利が残る。許可を受けない他者による製作・販売を制限する内容で、地域と期間を持つ権利だった。これに対し、メトロポリタン美術館は、ホイヘンスがイングランドとフランスでは特許を得られなかったと説明している。公表日、特権の授与、他国での取得の成否を一つの出来事として扱うことはできない。37

製作に移ると、特権を利用したヨハネス・ファン・クーレンの時計が重要になる。同館によれば、ホイヘンスの兄コンスタンティンは注文した時計を1676年7月18日に受け取った。これは所蔵時計そのものの伝来を示す記録ではなく、同種の時計が注文・納品されていたことを示す記録である。校訂書簡集の注は、ウィリアム3世、ルイ14世、ヨーク公への時計や書簡にも言及するが、初期時計には停止や調整の問題もあったと記す。王侯への紹介と、実用精度の確立は区別する必要がある。37

ヒゲゼンマイの導入は、振り子を必要としない携帯用の調速器を発展させる道を開いた。しかし、海上の経度測定を直ちに解決したわけではない。ハリソンのH4は1759年に完成した作品で、1753年のジョン・ジェフリーズ製の時計を試作上の背景とし、1755年に製作が始まった。高い振動数と安定した振動器を実用時計へ統合するまでには、さらに長い改良が必要だった。9

3. 作品に見る形と機構#

平ヒゲ、巻上げ端、円筒形#

最も基本的な平ヒゲは、ほぼ一平面上に螺旋を配置する。薄く収めやすい一方、内端と外端の拘束が開閉の形に影響する。外側の一部を平面より上へ上げ、曲率を変えるブレゲの巻上げヒゲは1795年の発明として同社史に記録される。目標は、テンプの回転に伴うばねの展開を同心に近づけ、軸への不要な力を抑えることである。巻上げ端の存在だけで精度が決まるわけではなく、その曲線と固定位置を含む形が重要になる。15

エドゥアール・フィリップスは1860年の『Mémoire sur le spiral réglant des chronomètres et des montres』で、ばねの力学と終端曲線を詳しく論じた。論文は平ヒゲと円筒形のばねを扱い、変形中の重心や軸への圧力、摩擦・慣性への影響を検討している。終端に求める条件を数学的に示すのであって、外端を特定の一形状に曲げれば全時計が完全になるという理論ではない。本文では油、脱進機、空気抵抗などによる影響を理論の範囲から切り分けている。5

円筒ヒゲは、螺旋を軸方向に積み重ねた形で、上下に終端を持つ。海洋クロノメーターの実物では、ジョン・ロジャー・アーノルドのNo.407、1812年頃が具体例になる。グリニッジの所蔵品調査には、青焼きした平断面の鋼製ばね、11巻半、上下の終端曲線、直径15.5 mmという記録がある。テンプは直径29.2 mmで、補償用の異種金属構造を持ち、振動数は毎時14,400振動である。これは保存作品の構造記録であり、破損・修理のある現状から当時の精度を実測した数字ではない。10

現代にも円筒形は用いられる。H.モーザーとMB&Fの協業資料は、系列会社Precision Engineering AGがMB&Fへばねを供給してきた関係と、両端に巻上げ曲線を持つ円筒ヒゲを説明する。MB&FのLM Thunderdomeと、H.モーザーとの共同作Endeavour Cylindrical Tourbillonは、その具体的な採用例である。高さを要する形を、時計の立体構成へ組み込んでいる。21

二本のヒゲゼンマイを組み合わせる例として、H.モーザーのHeritage Tourbillon、Ref.8804-1200のHMC 804がある。同社は、同じ二本のばねで姿勢に伴う誤差を補償する方式として説明する。ただし、特許の一次情報は確認できておらず、ここで扱うのは実読したメーカー資料による構成と目的である。二本なら常に全姿勢誤差が消えるとまではいえない。22

初期時計の実物が示すもの#

ファン・クーレン製の1676~1680年頃の時計、メトロポリタン美術館所蔵17.190.1417は、三本腕のテンプ、ヒゲゼンマイ、ヴァージ脱進機、鎖式フュジーを備える。ヒゲゼンマイの採用が、直ちに脱進機や動力伝達の全交換を意味しなかったことが分かる。所蔵品の年代は幅を持ち、1675年の最初の試作そのものと同一視することはできない。7

同館のトンピオン製の1680年頃のコーチウォッチは、時刻・打刻・アラームに別々の動力系を持つ。調速器にはヴァージ脱進機とヒゲゼンマイを用い、走行側のフュジーを取り除いた実験的構成として記録されている。作動時間の記録は約30時間である。複雑機構を備えること、長く作動すること、正確に進むことは、互いに関連しても同じ性能ではない。8

4. 材料と温度補償#

鋼から弾性率を制御する合金へ#

鋼製ヒゲを用いた時計では、温度変化による弾性の変化と、テンプの膨張を一緒に補償する必要があった。異種金属を用いた補償テンプはその方法の一つで、アーノルドの所蔵品にもその組合せが見られる。ばねを低膨張の材料にすることと、ばねの復元力を温度に対して安定させることは異なる。610

シャルル=エドゥアール・ギヨームは、1920年のノーベル講演で、1896年から取り組んだニッケル鋼の異常な熱的性質を説明している。インバーは低い熱膨張で知られる。一方、エリンバーでは弾性の温度変化が重要になる。講演は、1912年の構想に続いて1913年にクロムを加える実験を行ったこと、中断後に研究を再開したこと、単金属テンプに合うばねを得た経緯を述べる。「膨張しないからばねの周期も変わらない」という単純な関係ではない。6

Nivarox-FARの沿革は、ニヴァロックス合金が1930年代初めに開発され、1937年にサンティミエの工場が始まったことを記す。後の合併を経たNivarox-FARは、合金、シリコン、LiGAによる部品を製作する調速機構の供給者である。初期の技術特許を探索したが、一次情報の本文は確認できていないため、ここでは実読した同社・スウォッチ グループの沿革を根拠に発展を説明する。合金の歴史から、現在の全製品の組成や市場占有率を推定することはできない。1213

金属ばねの形を作る工程#

金属ばねの加工は、線を細くする工程と、ばねとしての断面・形を整える工程を含む。S. V.タラソフの時計製造技術書(ロシア語原著1956年、英訳1964年)は、ソ連のPobeda用ヒゲを例に、多段階の伸線、ローラーでの扁平化、必要な長さへの切断、巻付け、形を保持するための熱処理、分離・検査という順序を記す。例示する板厚は0.035±0.001 mmで、厚さの三乗が復元力に効くことを公差の理由として説明する。これは当時の製造例であり、現代の全合金・全工場に共通する寸法や熱処理条件ではない。24

現代の金属系材料#

ロレックスの公式史は、2005年の青いパラクロムを常磁性合金によるヒゲゼンマイとして説明する。同社の耐磁・耐衝撃の説明は材料開発の目的を知る資料になるが、独立した試験の全条件を示す資料ではない。色や商標だけから他のばねとの精度順位を決めることはできない。23

スウォッチ グループが2018年8月に発表したニヴァクロンは、オーデマ ピゲとの協業によるチタンを基礎とする合金である。発表文は磁場の残留影響を減らすこと、着用時の温度変化や衝撃への対策を述べる。2019年1月の業績発表では、同年2月のSistem51への投入を予告した。材料の発表と、製品採用の計画はそれぞれの日付で捉える必要がある。1819

グランドセイコーは9SメカニカルでSPRON製のヒゲゼンマイを使う。製造説明では、巻きの間隔が0.1 mmほどになる部品を顕微鏡で見て調整し、0.01 mm単位の精度で形を整える工程を紹介する。テンプとの組合せ後にはグランドセイコー規格の検査へ進む。素材を選ぶだけで完成せず、巻きの間隔と立体的な形を合わせる工程が残ることを示す事例である。これらの寸法や工程は同社の説明する製品群に関する値である。17

5. シリコンと微細加工#

温度補償を含む特許#

シリコンは金属と同じ方法で巻いて作る材料ではなく、結晶と加工形状を設計する材料である。CSEMのEP1422436B1は、2002年11月25日の優先日を持ち、2004年5月に出願公開、2005年10月に登録公報が公開された。発明者にはClaude Bourgeois、André Perret、Arnold Christiaan Hoogerwerfが記載される。11

この特許が扱う問題は、シリコンのヤング率にも温度依存性があることだ。単結晶シリコンの芯を、弾性率の温度係数が逆符号の外層で覆い、複合断面の復元力を調整する。二酸化ケイ素の外層はその具体例である。結晶方位による異方性を考慮し、ばねの幅を変える設計も記載されている。主な請求項には芯と外層の組合せ、外層厚さとばね幅の比による温度係数の設定が含まれる。11

したがって「シリコンだから温度の影響がない」とは説明できない。酸化層、断面、結晶の方向、テンプの温度変化を合わせた設計が必要である。また、公報の計算例に出る寸法比を、すべての市販シリコン製ばねの仕様とみなすこともできない。

平面形状、固定部、製品への統合#

パテック フィリップのAdvanced Research資料によれば、Silinvarの開発には同社、ロレックス、スウォッチ グループ、CSEMが関わった。製作には深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)を用いる。2005年のRef.5250の採用部品はシリコン系のガンギ車であり、ヒゲゼンマイSpiromaxを備えるRef.5350は2006年の作品である。14

Spiromaxでは、平面上の外端を膨らませた形と、取付け部を含む設計で開閉の形を制御する。2017年には内端にも膨らみを加えた構成をRef.5650に採用したと同社は説明する。立体的な巻上げ端以外にも、同心に近い展開を目指す方法がある。ただし、発表資料に記された時計の歩度を、ヒゲゼンマイ単体の性能や全モデルの保証へ読み替えることはできない。14

形状を加工できても、外端を固定側へ確実に接合する課題は残る。CSEMとパテック フィリップが2022年に紹介した工程では、シリコン側の凹部に金の層を設け、ヒゲ持ち側の金・錫の層と加熱して接合する。これは位置と取付けを安定させる製造上の工夫である。関係する特許番号は発表文にあるが、一次情報の請求項は確認できていないため、権利範囲については断定せず、実読した両者の技術紹介の範囲で説明する。16

金属ばねの微調整と、微細加工で形を作り込む方式には、異なる製造上の課題がある。シリコン系でも組立て、衝撃への対応、取付け、他の部品との整合が不要になるわけではない。

炭素系の実装#

タグ・ホイヤーが2025年9月に紹介したTH-Carbonspringは、炭素を使う複合構造のヒゲゼンマイである。同社資料は、化学気相成長(CVD)を使う三次元の炭素構造の製造と、アルミニウムのテンプに金の部材を組み合わせた温度補償を説明する。採用作品としてCarrera Chronograph Tourbillon Extreme SportとMonaco Flyback Chronograph TH-Carbonspringが挙げられる。ばねとテンプを一つの振動系として設計する現代の事例であり、メーカーの発表を根拠にした構成・採用の説明である。20

6. 発展年表#

年月出来事と資料の性格
1660年フックが支援者と交渉したと、1675年の追記で回顧。2
1664年フックがばねに関する公開講義をしたと同じ追記で説明。2
1675年1月20日ホイヘンスのばね付き時計について、日付入り原稿を校訂版が指摘。4
1675年2月25日ホイヘンスのガロワ宛説明が『Journal des Sçavans』に掲載。1
1675年5月17日フックとトンピオンの時計がチャールズ2世へ示されたと美術館が記録。8
1675年9月オランダの十五年間の特権。決議25日、文書27日。3
1676年7月18日コンスタンティン・ホイヘンスがファン・クーレンの時計を受領。7
1676~1680年頃メトロポリタン美術館所蔵ファン・クーレン製時計の製作年代。7
1680年頃同館所蔵のトンピオン製コーチウォッチ。ヒゲとヴァージ脱進機を使用。8
1759年ハリソンのH4完成。9
1795年ブレゲ社史に記録された巻上げヒゲの発明。15
1812年頃円筒ヒゲを備えるアーノルドNo.407の製作年代。10
1860年フィリップスのばね・終端曲線に関する論文刊行。5
1896年ギヨームがノーベル講演で述べる、ニッケル鋼の熱的異常を探る研究の時期。6
1912~1913年ギヨームの弾性温度補償の構想とクロム添加実験。6
1920年ギヨームがノーベル講演でインバーとエリンバー、時計への応用を説明。6
1930年代初め/1937年ニヴァロックス合金開発とサンティミエ工場の始動。12
1984年NivaroxとFARの統合によるNivarox-FAR。13
2002年11月シリコン芯と外層による温度補償を扱うEP1422436の優先日。11
2004年5月/2005年10月同特許の出願公開と登録公報公開。11
2005年青いパラクロムをロレックス公式史が記録。23
2006年Spiromaxを備えるパテック フィリップRef.5350。14
2011年/2017年GyromaxSi、次いで内端の形を改良したSpiromaxのRef.5650採用。14
2018年8月/2019年1月ニヴァクロン発表、次いでSistem51への投入予告。1819
2022年2月CSEMとパテック フィリップがシリコンばねの金属接合工程を紹介。16
2025年9月タグ・ホイヤーがTH-Carbonspringの製造と二作品への採用を説明。20

参考文献#

以下の資料の共通閲覧日は2026年10月11日である。

  1. Christiaan Huygens, ガロワ宛書簡、1675年2月刊。『Oeuvres complètes』VII, No.2014, pp.424–425。本文と図。

  2. Robert Hooke, 1675年のばね時計に関する追記。『Oeuvres complètes de Christiaan Huygens』VII, No.2067, pp.517–526所収。原文と校訂注。

  3. Huygens, 『Oeuvres complètes』XVIII、1675年の特権文書と編集注、pp.522–526。校訂版。

  4. Huygens, 『Oeuvres complètes』XVIII, p.605, 注1。1675年1月20日付原稿への参照。

  5. Édouard Phillips, “Mémoire sur le spiral réglant des chronomètres et des montres”, Journal de mathématiques pures et appliquées, 2e série, tome 5, 1860, pp.313–366。論文PDF。

  6. Charles-Édouard Guillaume, “Invar and elinvar”, Nobel Lecture, 1920年12月11日。英訳版pp.444–471の関連箇所。講演PDFの転載。

  7. Metropolitan Museum of Art, Johannes van Ceulen, Watch, ca.1676–1680, accession 17.190.1417。作品・調査記録。

  8. Metropolitan Museum of Art, Thomas Tompion, Coach watch, ca.1680。作品・調査記録。

  9. Royal Museums Greenwich, John Harrison, H4, ZAA0037。所蔵品記録。

  10. Royal Museums Greenwich, John Roger Arnold, Marine chronometer No.407, ca.1812, ZAA0065。構造調査。

  11. CSEM, EP1422436B1, “Ressort spiral de montre et son procédé de fabrication”, 優先日2002年11月25日。フランス語本文・請求項、書誌と英訳。

  12. Nivarox-FAR, Histoire。企業沿革。

  13. Swatch Group, Nivarox-FAR。製造会社の沿革・業務。

  14. Patek Philippe, Advanced Research Ref.5750, 2021, pp.5–6。公式発表PDF。

  15. Breguet, Invention of the Breguet balance spring。メーカー史。

  16. CSEM, CSEM and Patek Philippe team up, 2022年2月16日。接合技術の共同発表。

  17. Grand Seiko, 9S Mechanical 25th Anniversary, Chapter 3。製造工程の紹介。

  18. Swatch Group, Swatch Group is again an innovator, 英語発表本文2018年8月29日。Nivachronの共同開発・材料。

  19. Swatch Group, Key figures 2018, 2019年1月31日。Sistem51への投入予告。

  20. TAG Heuer, The Carbon Pulse of Precision, 2025年9月4日。製造技術・採用作品。

  21. H. Moser & Cie., H. Moser × MB&F。供給関係と円筒ヒゲの採用。

  22. H. Moser & Cie., Heritage Tourbillon, Ref.8804-1200。HMC 804の二重ヒゲ。

  23. Rolex, History 2000–2013。2005年Blue Parachromの説明。

  24. S. V. Tarasov, Technology of Watch Production, ロシア語原著1956年、Albert Baruch英訳、David Alster編、Israel Program for Scientific Translations, 1964。pp.287–288, 291–293。技術書PDF。