ルモントワール・デガリテ:定力装置の歴史と技術詳細

ルモントワール・デガリテ:定力装置の歴史と技術詳細

はじめに: ルモントワール・デガリテとは何か#

ルモントワール・デガリテ(remontoir d’égalité)は、機械式時計やクロックにおける「定力装置」の一種であり、一定のトルク(駆動力)を時計の調速機構に供給するためのメカニズムです1。フランス語の「remontoir(ルモントワール)」は「巻き上げる装置」を意味し、発条を巻き上げる機構一般を指しますが、時計学では特に主動力から独立した小さな二次動力(おもりや小ばね)を用いて脱進機(エスケープメント)に安定したエネルギーを供給する機構を指します2。日本語では「一定力保持装置」などとも呼ばれ、主ゼンマイや重錘の力の変動を平滑化する役割を果たします。

機械式時計では、ゼンマイがほどけるにつれて駆動トルクが低下し、これによって調速機構(振り子やテンプ)の振動数・振幅が変化し精度が悪化します3。また歯車の摩擦や外部要因(例えば塔時計の長針に風雪が当たる力)によっても、調速機構に伝わる力は変動します45。ルモントワール・デガリテは、主動力とは別の小さな動力源を定期的に再巻上げ(または持ち上げ)し、それを調速機構の直前に挿入することで、これらの力の変動から調速機構を隔離します25。要するに、時計内部に「ミニ発条(または小さなおもり)」を設け、それが一定間隔で巻き上げられては解放されることで、平均的に一定のトルクを調速機に供給するのです67

ルモントワール・デガリテは大きく分けて重力式(おもり駆動)ばね式の2タイプがあります8(さらに電気式も存在しますが、これは重力式やばね式の再巻上げを電動で行う応用形です9)。重力式では小さな重りの落下で調速機を駆動し、それを一定間隔で持ち上げ直します。一方、ばね式では小さなばね(副ゼンマイ)を調速機の駆動源とし、これを一定間隔で主ゼンマイから巻き上げ直します610。またこの装置が力を供給する位置により、脱進機の直前の車輪(ガンギ車)に直接作用するものは「脱進機ルモントワール(escapement remontoire)」、その一段手前の輪列に作用するものは「輪列ルモントワール(train remontoire)」と分類されます11

ルモントワールとコンスタントフォースという用語について触れておくと、「コンスタントフォース機構(一定の力機構)」は広義にはルモントワールを含む定力装置全般を指しますが、狭義には脱進機内部に組み込まれた定力ばね(各振動ごとに巻き上げられる極小ばね)を意味する場合があります12。ルモントワール・デガリテは脱進機とは独立した場所に定力装置を置くため、この狭義のコンスタントフォース機構とは構造が異なります13。両者とも目的は「テンプや振り子への力を一定にすること」ですが、後述するように実装方法や利点に差異があります。以下では主に伝統的なルモントワール・デガリテ(独立した定力装置)に焦点を当て、その発明から現代までの発展、技術的背景と影響について詳しく述べます。

ルモントワール誕生の背景と発明者#

**ルモントワール・デガリテの概念は16世紀末にさかのぼります。**当時の機械式時計はまだ振り子すら発明前で(振り子時計は1656年にホイヘンスが発明)、重錘やゼンマイによる駆動力は大きく変動し、時計の精度は未熟なものでした1415。こうした状況で、スイスの時計師ヨスト・ビュルギ(Jost Bürgi, 1552–1632)がこの問題に取り組み、1595年頃に史上初のルモントワール機構を発明しました1617。ビュルギは天文学者としても知られ、天文観測用に高精度な時計を求めて革新的な機構を生み出した人物です。同時期に彼はクロスビート脱進機(2本の振り子による精度向上策)も考案しており、これらの工夫によって彼の時計は当時もっとも正確と称されました18

ビュルギの定力装置は現在でいう重力式ルモントワールでした19。彼の製作したカレンダー付き実験クロック(通称「3か月時計」)では、非常に長い主ゼンマイを用いて約3ヶ月もの長時間駆動を得ましたが、その結果ゼンマイのトルク変動が大きくなり精度に悪影響を及ぼしました17。そこでビュルギは、主ゼンマイとは別の小さなおもりを毎日一定間隔で巻き上げ、それを利用して調速機を駆動する機構を組み込みました17。この小おもりは一定時間ごとに主ゼンマイの力で持ち上げ直され、その間だけ重力で落下してガンギ車を回します。こうすることで主ゼンマイの力のムラを重力の安定した力に置き換え、しかも歯車列の摩擦など主駆動系の不均一さを調速機から切り離す効果が得られました65。もっともビュルギの装置は黎明期のもので、再巻上げの瞬間(1日1回)には一時的に脱進機への力が途切れる欠点があったとされます2021。いずれにせよ、このビュルギの発明が世界初のルモントワール・デガリテであり、時計史における定力装置の端緒となりました。

ビュルギはその後1597年頃にはばね式のルモントワールも試みたと伝えられています19。重力ではなく小さな副ゼンマイを動力に用いる方式で、主ゼンマイがその副ゼンマイを定期的に巻き上げる仕組みです22。当時の小型クロックでも副ゼンマイをガンギ車に直結して一定トルクを供給する方式が試されました。このように16世紀末から17世紀にかけて、ルモントワールは精密時計における重要な改良として登場し、その後もしばらく高精度化の切り札として用いられていきます17

18世紀: マリンクロノメーターへの応用と発展#

その後、17世紀に振り子時計(1656年)やテンプ+ひげゼンマイによる持続振動(1670年代)が発明されると、時計の精度は飛躍的に向上しました。しかし可搬型の時計や長時間駆動時計では、依然として駆動トルク変動を補償する工夫が求められます。18世紀になると、ルモントワール・デガリテの考え方は再び脚光を浴び、**航海用の精密時計(マリン・クロノメーター)**開発の文脈で大きく発展しました。

特筆すべきは、イギリスの時計師ジョン・ハリソン(John Harrison, 1693–1776)です。ハリソンは経度測定法の難題を解決するための高精度な航海時計を開発しており、2作目の試作機H2(1739年)でばね式ルモントワールを考案しました23。さらに彼の完成作である4作目の航海時計H4(完成1761年頃)には、約7.5秒周期で再巻上げされるばね仕掛けのルモントワール・デガリテが組み込まれています2425。このH4は世界初の実用的マリン・クロノメーターとなり、経度測定を可能にした歴史的時計ですが、その高精度を支えた秘訣の一つがこの定力装置でした26。H4のルモントワールは複雑な機構で、5本アームのデテント(制御爪)とハートカム(心臓カム)、風車状の調速ファン、小さなルモントワールばねなどで構成され、ガンギ車と4番車の間で7.5秒ごとにばねを巻き上げ直しつつ恒常トルクを供給しました2725。この革新的装置によってH4は航海中わずかな誤差に抑える精度を実現し、人類が海上で経度を知るという難題を突破する原動力となったのです2628

ハリソンと同時代、他の著名な時計師たちもルモントワール技術を磨き上げました。例えばトーマス・マッジ(Thomas Mudge, 1715–1794)は、優れた懐中時計職人でレバー脱進機の発明者として知られますが、自作の精密時計にルモントワールを採用し一定力脱進機を試作しています12。マッジは1750年代に懐中時計用の実験的定力脱進機を開発し、のち1770年代には自身の航海時計に組み込みました(彼のマリンタイムキーパーには、エスケープホイール毎に巻き上げられる小ばねを組み込んだ機構が導入されたと伝わります)12。一方フランスでは、国王御用達時計師のロベール・ロバン(Robert Robin, 1742–1799)が、自作のマントルクロック(置時計)にルモントワール機構を組み込みました29。さらにフランスの時計師ジャン=アントワーヌ・レピーヌ(Jean-Antoine Lépine, 1720–1814)も、ゼンマイ駆動の小型振り子時計にルモントワールを搭載しています29。このように18世紀後半には、精度追求のため懐中時計から据置き時計まで様々な高級機にルモントワールが導入され、その効果が試みられました。

興味深いことに、同時期のアブラアム=ルイ・ブレゲ(Abraham-Louis Breguet, 1747–1823)も定力機構に関心を示していました。ブレゲは1790年代に数台のマリンクロノメーターやシンパティーク(自動巻上げ)クロックにコンスタントフォース脱進機を採用しています12。ブレゲが用いたのは、脱進機自体に微小なばねを内蔵して各振動ごとに巻き上げる方式、いわば「狭義のコンスタントフォース」であり、ルモントワール・デガリテとは一線を画す設計でした。しかしブレゲはこれを試験的に導入したのみで、のちに実用上の問題(効率低下や複雑さ)から主流にはしませんでした12。実際、ブレゲは後に懐中クロノメーターでフュズィ(一定トルクを得る鎖とらせん)を廃し、ツインバレル(主ゼンマイ2個並列)による安定駆動を選択するなど、別のアプローチに移っています30。このように18世紀末までに様々な定力機構が模索され、ルモントワール・デガリテはその中でも伝統的な手法として一定の役割を果たし続けました。

19世紀: 大型時計と新機構への展開#

19世紀に入ると、懐中時計・置時計のみならず塔時計(タワークロック)や天文台用精密時計にもルモントワールの概念が応用されるようになります。重錘駆動の大型レギュレータークロック(振り子時計)はもともと重錘の重力が一定であるため基本的に定力ですが、屋外に露出した長針が風を受けることで振り子の等時性が乱される問題がありました31。そこで19世紀半ばから教会塔などの大型振り子時計にルモントワールを組み込み、歯車系と表示(針)機構を調速振り子から切り離す設計が現れました31。例えばフランスの時計技師**オーギュスト・リュシアン・ヴェリテ(Auguste Lucien Vérité, 1806–1887)**は、約1840~1850年頃に塔時計向けの重力式ルモントワール設計を考案しています32。ヴェリテの方式は振り子につながる最終輪列に小さな揺動フレームとおもりを組み合わせ、30秒ごとにおもりを持ち上げ直すことで振り子への力を一定化するものでした(ロッカー式ルモントワールと呼ばれる仕組みです)3334。この方式は塔時計において風や外乱の影響を緩和し、高い精度での時刻表示を可能にしました。

同じく19世紀中頃、スイスの時計師アンリ=ベルナール・ワグナー(Henri-Bernard Wagner)遊星歯車(エピサイクル歯車)式のルモントワールを発明しました32。ワグナーの方式(1850年頃)は、小さな遊星歯車機構を用いてルモントワールばねの巻上げと解放を制御するもので、従来のレバーやラッチ機構と比べて歯車の軸が同軸上に配置できるため構造的メリットがありました32。この遊星歯車式ルモントワールは、力の伝達がスムーズで衝撃も少なく、理論上非常に優れた方式と評価されています32。当時この機構がどこまで普及したかは限られますが、そのアイデアは現代に再評価され、**時計師アンドレアス・ストレーラー(Andreas Strehler)**が21世紀にこの方式を採用した独自の腕時計を製作しています32(後述)。

なお19世紀半ばには他にも定力装置の革新がいくつか見られます。1854年、ロンドンのエドマンド・ベケット卿(E. Denison, 後のロード・グリムソープ)はウェストミンスター宮殿(ビッグベン)の時計向けに**「重力式脱進機」(3本脚重力脱進機)を開発しました。これは厳密にはルモントワールではなく脱進機そのものの一種ですが、各振動ごとに重力の力で振り子に impulso を与えるしくみで、結果的に振り子を駆動系から完全に切り離すことに成功しました。この発明も定力原理の別アプローチ**として注目され、以降の塔時計に採用されています。また、19世紀末には精密振り子時計(天文台時計)において、ドイツのジークムント・リーフラーが摩擦極小の新型脱進機を考案、30秒ごとに小さな重りが落下して振り子に衝撃を与える「リーフラー式」クロックを1898年に発表しました。これも一種のルモントワール的要素を含んでおり、高精度振り子時計の標準として各国の天文台で用いられました。

さらに電気技術の進展も定力機構に応用されました。例えば1840年に発明されたヒップ・トグル式電気時計や、20世紀前半の電気自動車時計では、電磁石によって一定間隔で小ばねを巻き上げる「電気ルモントワール」が使われています935。自動車のダッシュボードに搭載された機械式電気時計(1940~60年代)では、弱い駆動ばねが数分おきに電磁ソレノイドで巻き上げられ、ゼンマイ駆動と電気巻上げを組み合わせることで実用的な精度を得ていました35。このように19世紀から20世紀にかけて、ルモントワール・デガリテの思想は重力・機械・電気を問わず多様な形で時計技術に組み込まれていったのです。

20世紀以降: 機械式時計の復権と現代への影響#

20世紀前半から中頃にかけて、精密時計の王座はやがてクォーツ時計や原子時計に譲られ、機械式時計の定力装置は一時下火となりました。しかし機械式時計が高級嗜好品・工芸品として見直される中で、ルモントワール・デガリテは複雑機構(コンプリケーション)の一つとして現代に復権します3637。特に後半世紀には独立時計師や高級ブランドが、過去の定力装置を研究・改良しつつ腕時計サイズでの実現に挑戦しました。

1970年代、イギリスの伝説的時計師ジョージ・ダニエルズ(George Daniels, 1926–2011)は、懐中時計「グランド・コンプリケーション」(1975年完成、別名「スペーストラベラー第2号」等)において15秒周期のルモントワール付きトゥールビヨンを制作しました3839。ダニエルズのルモントワール機構は当時として画期的でしたが、副ゼンマイのトルク低下時に時計が再駆動不能になる(巻き上げ切れの際に止まったら再始動が難しい)弱点や、15秒という巻き上げ周期の長さゆえにばねの力が完全に抜けてしまうリスクがありました39。それでも彼の試みは後進に大きな影響を与え、ダニエルズの弟子筋にあたる時計師らがその改良に挑みます。

その一人がフランス人時計師フランソワ-ポール・ジュルヌ(François-Paul Journe)です。ジュルヌは1980年代に懐中時計サイズでダニエルズ式を発展させた5秒周期ルモントワール付き懐中時計を製作し、さらにそれを腕時計用に改良して1秒周期で巻き上げるルモントワールを完成させました4041。こうして彼が1999年に発表した「トゥールビヨン・スヴラン」は、世界初の市販シリーズ生産されたルモントワール・デガリテ搭載腕時計となりました4243。この時計ではトゥールビヨンと組み合わせて1秒ごとに副ゼンマイを巻き上げることで、トゥールビヨン機構の重量による振幅低下を補償し、高い等時性を確保しています4445。ジュルヌは以後も自身の様々なモデル(30秒ヴァーティカルトゥールビヨン、クロノメーター・オプティマム、レゾナンスなど)に改良型ルモントワールを搭載し、現代における定力機構の代名詞的存在となりました4647

2000年代以降、他の高級メーカーや独立時計師も工夫を凝らしたルモントワール搭載時計を発表しています。オランダのグローネフェルド兄弟は「1941レモントワール」(2016年)で8秒周期の視覚的に魅せるルモントワール機構を導入しました48。ドイツのA.ランゲ&ゾーネは「リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド」(2016年)で1秒飛び秒表示のためのルモントワールを実現しています49。これは懐中時計時代の「独立秒針(デッドビートセコンド)」機構に似たもので、ガンギ車に星型カムとレバー(通称「むち」)を設け、副ゼンマイの巻上げとロックを制御する設計です49。同様の機構は19世紀の高精度懐中時計にも例がありますが、ランゲはそれを現代の精巧な加工技術で洗練させました。

さらに、21世紀に特徴的なのは素材工学・微細加工技術の進歩により、新しい定力機構が登場したことです。例えばスイスのジラール・ペルゴはシリコン製ナノブレードを用いたコンスタントエスケープメントを開発し、2013年に「コンスタントエスケープメント L.M.」を発表しました50。この仕組みでは脱進機内に極薄のシリコンばね(ブレード)が組み込まれ、エネルギーを蓄えて一定量で解放することで実質的に常に一定トルクをテンプに伝達します51。従来の歯車式ルモントワールとは異なるアプローチですが、半導体微細加工技術を駆使して実現した定力機構として高く評価されました(2013年のGPHGグランプリ受賞50)。また上述のストレーラーは、ワグナーの遊星歯車式ルモントワールを発展させ、2013年に「レモントワール・パピヨン」等で遊星歯車による滑らかな定力装置を搭載しました32。その他、ウルバン・ユルゲンセン社は故デレク・プラットの設計した懐中時計のルモントワールトゥールビヨンを復刻し、2020年代に限定腕時計「UJ-1」として発表しています5253。日本のセイコーも自社工房でコンスタントフォース・トゥールビヨン機構を開発し、2020年に試作機「T0」を公開しました。これはフュズィ(鎖巻き上げ)と1秒ルモントワール・トゥールビヨンを組み合わせた野心的構造で、シリコン製脱進機と相まって機械式時計の新たな地平を示すものです。

現代において、ルモントワール・デガリテは高度な時計製造技術の象徴となっています54。純粋な精度向上という意味では、石英や原子時計に及ぶべくもありません。しかし機械式時計の世界では、わずかな精度向上や仕組みそのものの美しさ・独創性が重視されます。ルモントワール機構は非常に複雑で調整も難しいため、多くのブランドが安易には採用しません。その希少性も相まって、ルモントワールを搭載した時計はコレクターに特別視され、高い評価を得ています3655。また技術的にも、コンスタントフォースの概念はツインバレル設計やトゥールビヨン、さらにはスプリングドライブ(機械+電子制御)など他のアプローチにも影響を与えています。フュズィ&チェーン(鎖引き)も広義には定力装置と見做せますし、複数香箱で平坦なトルク曲線を得る設計も定力を目指すものです30。ジュルヌは「フュズィは現代ではもはや製造の手間が多い割に利点が少なく、マーケティング上の魅力ではないか」と辛辣に述べていますが30、それも裏を返せば機械式時計において定力機構がいかに注目を集めるかを示しています。

ルモントワール・デガリテの技術的特徴と課題#

技術的な面から見たルモントワール・デガリテには、長所と短所、そして克服すべき課題があります。

最大の目的である調速機への一定トルク供給という点では、ルモントワールは非常に効果的です。主ゼンマイの力が強過ぎたり弱過ぎたりすることで生じるテンプ振幅の変化を平均化し、時計の姿勢差や残存誤差を抑制します156。また歯車の摩擦や外的負荷から調速機を切り離すアイソレーターの役割も果たすため、複雑な表示機構や大型の針を動かす時計でも歩度への影響を減らせます531。事実、歴史的な天文台時計や航海時計で極限の精度が得られたのは、ルモントワール等の定力機構と高度な温度補正機構の組み合わせによるところが大きいです。

一方で、ルモントワールは構造が複雑で部品点数も増え、調整・整備が難しくなる欠点があります3457。塔時計分野でも「ルモントワールは高価で熟練管理者を要するため、大半の塔時計は採用しなかった」という指摘があります34。時計内部で小さなばねやレバーを頻繁に動作させるため、摩耗や潤滑不良による抵抗増大も懸念です。特に腕時計サイズでは部品が微小化するため、製造誤差や摩擦の影響が無視できません。これらを解決するために、現代では高精度なCNC加工やMEMS技術(シリコン製パーツ)で部品精度・表面仕上げを向上させ、低摩擦の宝石軸受けやコーティングを駆使しています。

またエネルギー効率の課題もあります。ルモントワールは一旦エネルギーを副ばねに蓄えて解放する構造上、その過程でエネルギーロスが生じがちです(摩擦や空気抵抗による損失、ファン調速による損失など)25。そのためパワーリザーブ(駆動時間)が短くなる傾向があります。実際、トゥールビヨン・スヴランのパワーリザーブは約40時間と同時期の他モデルより短めですが、これは1秒毎にばねを巻き上げる機構の負荷を反映しています58。時計師たちはこの点を改良すべく、部品の軽量化や潤滑向上、巻き上げ間隔の最適化を行っています。巻き上げ間隔を長くすれば効率は上がりますがトルク変動も大きくなるため、理想的には短い間隔で巻き上げつつロスを低減する必要があります59

加えて、再起動性(リスタート)の問題があります。ルモントワール付き時計では、主ゼンマイの力が弱まり副ばねへの巻き上げが不能になると時計が停止しますが、その際に残った副ばねのトルク次第では再度巻き上げても動き出さない恐れがあります39。ダニエルズの懐中時計で指摘された問題はまさにそれで、完全停止後に振り子(テンプ)が動かない状態に陥り得ました。ジュルヌはこの点を改良し、主ゼンマイが尽きる直前で時計全体が止まるよう意図的に設計するか、または副ばねに常にテンションが残るようにする工夫を施しました60。トゥールビヨン・スヴランでは後者の方法が採られ、主ゼンマイが切れても少し巻けばすぐ再駆動する安全策が取られています60

素材面では、現代のルモントワールは新素材の恩恵も受けています。伝統的には青鋼製の薄いばねが用いられましたが、温度変化や経年で特性が変化する課題がありました。現在ではコーティング技術やエリンバー(温度変化に強い合金)の使用、ひいてはシリコンパーツによって経年変化や潤滑不要化が進んでいます12。シリコン製の定力ばねはヒステリシスが小さく、潤滑も不要なため、将来的に信頼性と寿命の面で有利です。ただしシリコンは割れやすいという弱点もあり、扱いに慎重さが求められます。材料科学の観点では、ナノテクノロジーによってばね材料の結晶構造を最適化したり、量子力学的なシミュレーションでばね振動の減衰を抑える研究も理論的には可能でしょう。もっとも現時点で機械式時計のスケールでは量子効果よりも古典的要素(摩擦・空気抵抗など)の方が支配的であり、まずはそれらの極小化が優先されています。

最後に音響工学的な視点に触れると、ルモントワール機構は時計の動作音にも影響します。例えば重力式ルモントワールを備えた時計では、一定間隔ごとに巻き上げが行われる際、カチッというロック音やファンの風切り音が生じることがあります。塔時計では30秒毎にファンが回る音が聞こえるものもあります。この周期的な音の発生は定力装置特有の現象で、精密時計では極力静粛に設計されますが、耳を澄ませば通常のティック音とは別の律動を感じ取ることもできます。腕時計でも8秒ルモントワールのモデルでは、8秒ごとに秒針が動く「コチッ」という歯車の操作音が微かに聞こえる場合があります。音響的にはわずかなノイズかもしれませんが、こうした特徴に気付くことは機械式時計の奥深さを味わう一面とも言えるでしょう。

おわりに: 歴史的意義と現代への影響#

ルモントワール・デガリテは、その400年以上にわたる歴史の中で、時計技術者たちの不断の創意工夫によって進化を遂げてきました。ヨスト・ビュルギの初歩的な試みから始まり、ジョン・ハリソンが人類の航海に革命を起こし、19世紀の鐘楼から20世紀の懐中時計、そして21世紀のハイテク腕時計へと受け継がれてきたのです。その過程で発明者たちは、機械的精度の限界に挑みつつ、美しくも複雑な機構を生み出しました。

現代において、機械式時計の正確さは実用的にはクォーツや原子時計に遠く及びません。しかし時計史・技術史の観点から見れば、ルモントワール・デガリテは「精密機械工学の挑戦」の象徴であり、極限の精度を目指した人類の努力の結晶です61。また高級時計産業にとっても、ルモントワールはトゥールビヨン等と並ぶ重要なコンプリケーションであり、その搭載はブランドの技術力や伝統への敬意を示すものとなっています4636。事実、コンスタントフォース機構は一般消費者には目立ちにくい仕組みであるにもかかわらず、専門家筋や愛好家から熱い注目を集めており、各社が新たなアイデアを競っています4855

さらにルモントワールの思想は時計以外の精密機器にも通じるものがあります。例えば一定の力で安定動作させる機構は音響機器のレコードプレーヤーのガバナーや、自動車の古典的速度調節器(フライボール・ガバナー)など類似の制御原理が見られます。量子化されたエネルギー供給という観点では、ルモントワールがエネルギーを「パルス化」して供給する様子はディジタル制御のようでもあり、その安定化原理は幅広い工学分野に示唆を与えています。

今後も材料工学の発達(例えばカーボンナノチューブばねの可能性やMEMS加工のさらなる微細化)や、新理論の導入によって、ルモントワール・デガリテは進化し続けるでしょう。機械式時計という古典的世界において、ルモントワールは過去と未来とをつなぐ架け橋と言えます。その歴史を俯瞰すれば、一つの機構にこれほど多くの天才の足跡が刻まれていることに驚かされます。そして現在それが小さな腕時計の中で確かな鼓動を打ち続けていることは、時計技術の偉大さと浪漫を物語っているのです。

年表:ルモントワール・デガリテの主要な出来事#

  • 15世紀後半ゼンマイ式時計とフュズィの登場: ヨーロッパで初のゼンマイ駆動時計が現れ、巻き上げトルク変動を補償するフュズィ(鎖と円錐)機構が考案される(1500年前後、発明者は諸説あるが1525年のヤコブ・ツェッヒの時計が有名)62。これはルモントワール以前の定力装置で、後の時計技術に影響を与えた。

  • 1580年代ヨスト・ビュルギ、精密時計を追求: スイスのビュルギがクロスビート脱進機(1584年頃)を発明18し、当時最高精度の時計を製作。長時間駆動によるトルク低下を認識し、定力機構の必要性が意識され始める。

  • 1595年頃ビュルギ、初のルモントワール(重力式)を発明: ビュルギが重力式ルモントワールを搭載したカレンダー時計を製作17。主ゼンマイの力で1日1回小重錘を持ち上げ、その重錘が落下する一定力でガンギ車を駆動17。史上初の定力装置として評価される(この時計は後世マテマチカル・サロンに所蔵)。

  • 1597年頃ビュルギ、ばね式ルモントワールを試作: ビュルギが副ゼンマイを用いた別の実験クロックを製作10。重力ではなく小ばねを用い、一定間隔で巻き上げる方式を採用。ビュルギはこうした創意によって「当時もっとも精確な時計」を作り上げた18

  • 1656年ホイヘンス、振り子時計を発明: クリスティアーン・ホイヘンスがガリレオの着想を元に振り子式クロックを開発。時計の精度が飛躍的に改善され、以降振り子と振幅等時性が重視される14(ただし振り子は重錘駆動で比較的安定トルクだったため、この時点ではルモントワールの必要性は限定的)。

  • 1675年バランススプリング(ひげゼンマイ)の実用化: ホイヘンスとロバート・フックにより携帯時計用のテンプ+ひげゼンマイ機構が確立63。携帯時計の精度向上につながるが、ゼンマイ駆動ゆえのトルク変動問題が顕在化する。

  • 1720年代精密脱進機の改良: イギリスのジョージ・グラハムが死角脱進機(デッドビート)を発明(約1715年)し、精密クロックの精度が向上。以後、トルク変動よりも脱進機設計の改良に注目が集まる(土台として振り子クロックの等時性が確立)。

  • 1730–1735年ジョン・ハリソン、H1海洋時計を製作: 木製部品を活用したH1により航海中でも高精度を目指す。H1にはまだルモントワールは無いが、独創的グリッドアイロン振り子等を採用し経度賞に挑戦64

  • 1739年ハリソン、H2にてばね式ルモントワール開発: ハリソンが2作目の海時計H2を製作中に小さなスプリングによるルモントワール機構を考案23。H2は試験航海せず中断されたが、このときの図面が残りルモントワール発明の記録となる65

  • 1750年代トーマス・マッジ、定力脱進機を試作: マッジがレバー脱進機と並行して、脱進機内にばねを持つコンスタントフォース脱進機を研究12。1755年には既に似た機構を自作クロックに組み込んでいた記録がある(ブレゲの採用より先行)12

  • 1761–1764年ハリソンのH4が航海試験で成功: ハリソンの第四時計H4(懐中時計大)が大西洋航海で高精度を証明66。H4には7.5秒ごとに巻き上げるルモントワール・デガリテが搭載されており24、経度測定法確立に決定的な貢献を果たす。

  • 1770年代ロバート・ロバン、ルモントワール付きクロック製作: ロバンがマントルピースクロックなど据置時計にルモントワールを採用29。また同時期にジャン=アントワーヌ・レピーヌも小型振り子時計へ組込み29。一方ブレゲは懐中マリンクロノメーターにフュズィを用いつつも、1795年製作の一部クロノメーターでコンスタントフォース脱進機を試行12

  • 1790年代ブレゲ、定力機構の試行と放棄: ブレゲが1795年製作のNo. No.7マリンクロノメーター等でコンスタントフォース脱進機を使用するが、その後シンパティークなど一部のぞき採用をやめる12。代わりに彼は複列香箱(複数ゼンマイ)でのトルク安定化に傾倒、フュズィも廃止30。主ゼンマイ材料改善によりフュズィ不要と判断(19世紀初頭)。

  • 1840–1850年頃ヴェリテ、塔時計用ルモントワール開発: オーギュスト・ヴェリテがフランス・ボーヴェの鐘楼時計に重力ルモントワールを組込32。おもりの揺動フレーム式ルモントワールで30秒ごとに再巻上げし、外乱に強い塔時計を実現67

  • 1850年頃ワグナー、遊星歯車ルモントワール考案: H.-B.ワグナーがエピサイクル(遊星)歯車を利用したばね式ルモントワールを発明32。歯車系を同軸化でき、安定した力伝達が可能な革新的機構。この方式は当時は一部時計で採用されるに留まったが、設計概念は後世評価される。

  • 1854年グリムソープ卿、三本脚重力脱進機を発明: ビッグベンのためE.デニソン(グリムソープ卿)が開発した脱進機68。振り子直近で重力力を利用する点でルモントワール的発想の極致。以後大型塔時計の標準技術となる。

  • 1880–1890年代高精度振り子時計の定力化: ドイツのリーフラーが新脱進機(1898年特許)で定力効果を実現、米国のS.ボンドやイギリスのショート(1921年)も自由振り子式(マスター&スレーブ方式)で定力駆動を達成。機械式振り子時計の精度が究極に達する。

  • 1920–1960年代電気式ルモントワールの利用: 精密振り子時計や自動車時計で、電磁石によるばね巻上げが広まる35。特に自動車用Kienzle製電気時計(1950年代)は数分毎にソレノイドで小ばねを巻き上げ連続駆動する構造35。ただし安価な量産品では精度はさほど高くなく、のちクォーツに置換。

  • 1969年クォーツショック: セイコーがクォーツ腕時計を発売。以降、機械式定力機構は実用的必要よりも技術の伝統・興味としての側面が強まる。

  • 1974–1975年ジョージ・ダニエルズ、「グランド・エルソム II」懐中時計製作: ダニエルズが独自の懐中時計に15秒ルモントワールと1分トゥールビヨンを組み合わせる38。1975年セシル・エルソムに納品69。クォーツ全盛の時代に機械式の可能性を示した傑作。

  • 1982–1984年F.P.ジュルヌ、懐中時計No.1(トゥールビヨン)完成: ジュルヌが自作懐中時計に5秒周期ルモントワールとデッドビート秒針を搭載(初の作品として1983年完成、1984年改良)。伝説的時計師の序章となる。

  • 1994年A.ランゲ&ゾーネ、「トゥールビヨン・プール・ル・メリット」発表: ドイツのランゲ社が戦後復興後初の複雑機構シリーズでフュズィ鎖引きを採用。狭義のルモントワールではないが現代に定力装置を復活させた例。

  • 1999年F.P.ジュルヌ、「トゥールビヨン・スヴラン」発売: 世界初の量産腕時計にルモントワール・デガリテを搭載42。1秒ごとに巻き上げられる副ゼンマイでテンプ振幅を一定に保つ画期的モデル59。ジュルヌはこの功績で2004年にGPHG金賞受賞。

  • 2006年フィリップ・デュフォー、「デュアルテンプ デッドビートセコンド」: 名工デュフォーが2つのテンプと1秒ルモントワールを組み合わせた懐中時計を製作(発表は2006年)。超複雑の中で定力装置の重要性をアピール。

  • 2008年グレーブ&フォルセー、「インベンション ピース No.2」: GF社が5番目の発明としてDifférentiel d’Égalité(定力差動装置)を開発開始。差動歯車内にルモントワールを組込み、ガンギ車を経由せずテンプに一定力を伝達する斬新な構想70(完成は後年)。

  • 2013年ジラール・ペルゴ、「コンスタントエスケープメントLM」発表: シリコン製ブレードばねを用いた世界初の真のコンスタントフォース脱進機を搭載した腕時計がバーゼルワールドで公開50。GPHG最高賞を受賞50

  • 2013年アンドレアス・ストレーラー、「レモントワール・パピヨン」発表: ストレーラーが遊星歯車ルモントワールを搭載した腕時計を制作32。エピサイクル機構により腕時計サイズで極めて効率的な定力を実現し話題に。

  • 2014年Urban Jürgensen、「デレク・プラット記念懐中時計」公開: 故D.プラット設計の楕円トゥールビヨン懐中時計(レモントワール付き)が完成披露。後にこの設計は腕時計UJ-1(2021年)として具現化52

  • 2016年A.ランゲ&ゾーネ、「リヒャルト・ランゲ・ジャンピングセコンド」発売: 1秒飛び秒のための定力装置(独立秒針機構)を搭載49。クラシカルな定力機構を現代の最高水準で復刻し、高い評価を得る。

  • 2016年グローネフェルド、「1941レモントワール」発表: オランダの独立系ブランドが8秒周期ルモントワールの腕時計を製作71。動作の視覚効果も重視され、Only Watch慈善オークションでも話題となる。

  • 2018年グレーブ&フォルセー、「Différentiel d’Égalité」限定発売: 差動定力装置を組込んだGF初の市販モデルがSIHHで公開72(5台限定)。5秒ごとに飛び秒しつつ安定トルクを実現。

  • 2020年セイコー、「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」発表: セイコーが概念実証ムーブメントT0を公開。フュズィと1秒ルモントワール付きトゥールビヨンを同軸配置する世界初の試みで、動画公開され大きな反響を呼ぶ。

  • 2021年Urban Jürgensen、「UJ-1」プロトタイプ披露: デレク・プラット設計の楕円トゥールビヨン+レモントワールを腕時計化したモデルがジュネーブで発表される52。複雑機構の歴史的コラボとして注目。

  • 2023年オーデマ・ピゲ、試作キャリバー「RD#4」公開: AP社が超複雑統合型ムーブメントRD#4でコンスタントフォース装置と数々の複雑機構を統合(うち定力関連は詳細未公表だが振幅安定化を図る)。複数の新技術と組み合わせた定力実現の流れを示唆。

  • 2025年現代: 各ブランドが独自の定力機構を競い合う状況が続く。シリコンや新素材を用いたマイクロ機構、AIシミュレーションによる効率最適化など、ルモントワール・デガリテはなお進化中。機械式時計の未来においても定力への挑戦は不変のテーマとして受け継がれている。

参考文献#

  1. Watch Affinity記事「“It’s complicated”: an introduction to the Remontoire」より定力機構の説明と歴史16
  2. Wikipedia英語版「Remontoire」より定義と種類の解説29
  3. WebChronos日本語記事「ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編)」(執筆:F.P.ジュルヌ、菊池悠介)より歴史背景とビュルギの発明に関する記述1731
  4. 同記事(前編)よりハリソンH4やロバン、レピーヌの事例に関する記述29
  5. Revolution Watch記事 “The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité” よりハリソンH4の7.5秒ルモントワールについての記述2425
  6. DartMouth Journeys記事「Harrison, Others, and the Shifting Materiality of Chronometers」よりハリソンH4に関する言及66
  7. WebChronos記事(前編)よりトーマス・マッジやブレゲのコンスタントフォース機構に関する記述12
  8. My-Time-Machines解説「Remontoire」より塔時計におけるルモントワールの目的とヴェリテ式の概要534
  9. WebChronos記事(後編)よりヴェリテとワグナーのルモントワールに関する言及32
  10. WebChronos記事(後編)よりジョージ・ダニエルズの懐中時計(1975年)とジュルヌの改良に関する記述3960
  11. Revolution Watch記事よりジュルヌの1999年作トゥールビヨン・スヴランについて4247
  12. WebChronos記事(前編)よりジュルヌ自身の解説(5秒から1秒周期への改良点など)59
  13. WebChronos記事(後編)よりジョージ・ダニエルズ作「グランド・エルソムII」(1975年)の写真キャプション69
  14. WebChronos記事(後編)よりランゲ2016年作ジャンピングセコンドの機構説明49
  15. Revolution Watch記事よりDerek Pratt/Urban Jürgensenの現代作品への言及52
  16. Chrono24日本語記事「時計製造における一定の力で作動するコンスタントフォース・メカニズム」よりコンプリケーションとしての定力機構の意義に関する叙述3655
  17. Revolution Watch記事よりコンスタントフォースの精度向上策としての重要性についての記述61
  18. Girard-Perregaux社公式「Neo Constant Escapement」ページより2013年コンスタントエスケープメントLMの紹介50
  19. Hodinkee記事「Introducing: The Greubel Forsey Différentiel d’Égalité」よりGFの定力差動機構に関する情報72(※引用部はSJX記事経由)

  1. “It’s complicated”: an introduction to the Remontoire - Watch Affinity ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. Remontoire - Wikipedia ↩︎ ↩︎ ↩︎

  3. “It’s complicated”: an introduction to the Remontoire - Watch Affinity ↩︎

  4. Remontoire - Wikipedia ↩︎

  5. Remontoire ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  6. “It’s complicated”: an introduction to the Remontoire - Watch Affinity ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  7. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎

  8. “It’s complicated”: an introduction to the Remontoire - Watch Affinity ↩︎

  9. Remontoire - Wikipedia ↩︎ ↩︎ ↩︎

  10. Remontoire ↩︎ ↩︎

  11. Remontoire - Wikipedia ↩︎

  12. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  13. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎

  14. Precision: Why The Worst Escapement In Watchmaking Is In One Of The Greatest Watches Of All Time ↩︎ ↩︎

  15. Precision: Why The Worst Escapement In Watchmaking Is In One Of The Greatest Watches Of All Time ↩︎

  16. “It’s complicated”: an introduction to the Remontoire - Watch Affinity ↩︎

  17. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  18. Remontoire ↩︎ ↩︎ ↩︎

  19. Remontoire ↩︎ ↩︎

  20. Remontoire - Wikipedia ↩︎

  21. Remontoire ↩︎

  22. Remontoire ↩︎

  23. “It’s complicated”: an introduction to the Remontoire - Watch Affinity ↩︎ ↩︎

  24. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎ ↩︎ ↩︎

  25. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  26. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎ ↩︎

  27. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎

  28. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎

  29. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  30. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  31. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  32. ルモントワールとコンスタントフォース概論(後編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  33. Remontoire ↩︎

  34. Remontoire ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  35. Remontoire - Wikipedia ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  36. 時計製造における一貫した駆動力 - Chrono24マガジン ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  37. 時計製造における一貫した駆動力 - Chrono24マガジン ↩︎

  38. ルモントワールとコンスタントフォース概論(後編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎

  39. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  40. ルモントワールとコンスタントフォース概論(後編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎

  41. ルモントワールとコンスタントフォース概論(後編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎

  42. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎ ↩︎ ↩︎

  43. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎

  44. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎

  45. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎

  46. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎ ↩︎

  47. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎ ↩︎

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  49. ルモントワールとコンスタントフォース概論(後編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  50. Neo Constant Escapement - Girard-Perregaux ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎ ↩︎

  51. The Girard-Perregaux Constant Escapement: Watch Lust at … ↩︎

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  53. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎

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  55. 時計製造における一貫した駆動力 - Chrono24マガジン ↩︎ ↩︎ ↩︎

  56. “It’s complicated”: an introduction to the Remontoire - Watch Affinity ↩︎

  57. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎

  58. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎

  59. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎

  60. ルモントワールとコンスタントフォース概論(前編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎ ↩︎

  61. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎ ↩︎

  62. Fusee Clock Mechanism, early 20th Century - Victorian Collections ↩︎

  63. Precision: Why The Worst Escapement In Watchmaking Is In One Of The Greatest Watches Of All Time ↩︎

  64. Harrison, Others, and the Shifting Materiality of Chronometers – Instruments that structured the narratives of pre-modern voyages ↩︎

  65. Remontoire - Wikipedia ↩︎

  66. Harrison, Others, and the Shifting Materiality of Chronometers – Instruments that structured the narratives of pre-modern voyages ↩︎ ↩︎

  67. [PDF] The Evolution Of Tower Clock Movements And Their Design Over … ↩︎

  68. Remontoire ↩︎

  69. ルモントワールとコンスタントフォース概論(後編) | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos] ↩︎ ↩︎

  70. The Greubel Forsey Différentiel d’Égalité Explained - SJX Watches ↩︎

  71. The Complete Guide to Constant-Force Remontoir d’Égalité - Revolution Watch ↩︎

  72. SIHH 2018: The Greubel Forsey Différentiel d’Égalité & GMT Earth ↩︎ ↩︎